福﨑技術士事務所 福﨑昌宏さんより応援メッセージをいただきました!
この先生がいらっしゃらなかったら、トレーニング用イングリッシュハンドベルは、誕生しませんでした。コストを最小限にするために、ベルを1つ1つ分解して計測して図面にする作業から、試作パーツの組み立て、不具合の改善。新しいものをこの世に生み出す苦労を、文句ひとつ言わず淡々とこなす姿勢に、感動すら覚えました。
私が前面に出ていますが、作ったのはこの方です。パーツに散りばめられた数々のアイデアは数え切れず、発明の領域です。本当に黙って、ひたすら頑張る人です。
福﨑先生と一緒に開発の仕事ができて、本当に良かったです。みなさん、たくさんたくさん、称賛してあげてください!!! 藤田美千子
藤田美千子さんの「トレーニング用イングリッシュハンドベル開発プロジェクト」開発製作秘話】
イングリッシュハンドベル奏者の藤田さんが進められているプロジェクト
トレーニング用イングリッシュハンドベル開発。
主に技術的な開発設計に携わらせていただいています。
クラファン期間も大詰めとなり、
製作秘話についてお話ししたいと思います。
藤田さんと出会ったのは柏ビジネス交流会でした。
この時はじめてイングリッシュハンドベルという楽器を知りました。
その音色はとてもきれいでした。
一方で、イングリッシュハンドベルがとても高価な楽器と知りました。
ベル1個当たりの単価としては10万円以上です。
1オクターブ(12個)そろえたら車が買えます。
価格が高いので、初心者は手が出せず
練習ができないことを藤田さんはなげいていました。
もっと安くて初心者も買うことができる
練習用ベルが欲しいと言っていました。
高コストの理由はベル本体でした。
材料は銅80%、すず20%程度のブロンズ合金です。
一般的なブロンズはすずの量が多くても7%程度なので、
かなり特殊な材料です。
さらに溶解鋳造して切削加工で仕上げているようです。
これなら高コストになるはずです。
しかし、現行品である正規のイングリッシュハンドベルの
基本的な構造はわりとシンプルで、
見た目上複雑な形状、部品、電子制御デバイスはありません。
そのため、現行品のコストの大元であるベル本体の材質と加工次第では
実現可能と思い、藤田さんに提案して開発プロジェクトが立ち上がりました。
そして、物を作るためには仕様が必要です。
さらに、現行品との比較性能も重要です。
ベル材質と加工変更によって音色と音程はどう変わるか、
大きさ、形状、重さはどこまで合わせられるか、
変更、省略、削除できる部品・機能はどこか、
変更、省略、削除してはいけない部品・機能はどこか、
一方、特許に抵触しないように、
現行品との違いを作らなければなりません。
ネジ1本についても「適切なネジ」ではなく
「M4×10mm」という表記が必要です。
目の前に「ベル」という現物があるので、
形状を測定することで近い物を作ることはできます。
耳コピならぬ物コピ(?)です。
世の中的には最先端の3D形状測定機もありますが、
コスト高になるだけでなく、加工精度が難しくなるだけなのでやりません。
アナログにノギスを駆使して全てのベルの形状を測定しました。
これらを全て考慮して
1つ1つのパーツを図面で表し、それを試作していきました。
図面上、理論上は大丈夫と思っても、
実際に出来たものを確認するまでは不安がつきます。
上手くいかなかったことも何度もあります。
それでも藤田さん指揮の元、多くの協力者とともに少しずつ試作を重ねて
ようやく完成間近となりました。
この場を借りて藤田さんはじめ
応援くださる方に大変感謝いたします。
福﨑技術士事務所
代表 福﨑昌宏 技術士(金属部門)